Q&A
皆さまからいただくご質問のうち、主立ったものをQ&A形式でご紹介します。
本Q&Aページの監修は、総務省委託研究「電波ばく露レベルモニタリングデータの取得・蓄積・活用」で実施しています。
電波の基本情報
電波に対する正しい情報はどこで入手できますか?
電波に関する情報は、総務省・環境省・経済産業省や国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)、電磁界情報センターなどの官公庁等のホームページで確認できます。これらのサイトでは、電波の安全性や健康への影響について、科学的なデータに基づいた情報が発信されています。また、「リスクコミュニケーション」という考え方も大切です。これは、リスクについて、政府や専門家が国民と正しい情報を共有し、意見を交換しながら理解を深める取り組みのことです。特に、誤った情報が広がると不安が生まれやすいため、信頼できる情報源を確認し、冷静に判断することが大事です。本研究室では、2024年より総務省委託研究「電波の安全性に関する調査及び評価技術」(JPMI10001)「電波ばく露レベルモニタリングデータの取得・蓄積・活用」の一環として、科学的根拠に基づくリスク認知の視点から電波のコミュニケーションを提供するための研究をしています。
【参考リンク】
・総務省 HP 「電波安全性に関する取り組み」
・環境省 HP 「電磁界に関する調査・研究」
・経済産業省 HP 「電磁界と健康」
・NICT 電磁環境研究室HP「電波ばく露レベルモニタリングプロジェクト」
・電磁界情報センター HP
日本では電波の人への影響に関してどんな制度がありますか?
日本では、これまでの科学的知見に基づき、十分な安全率を考慮した「電波防護指針」という指針が定められています。電波防護指針とは、人体が電磁界(周波数範囲は 10kHz から 300GHz までに限る。)にいるとき、その電磁界が人体の健康に悪い影響を及ぼさず、安全な状況であるために推奨される指針です。この指針値は、実際に健康に好ましくない影響が生じる電波の強さと比較して、十分な安全率が考慮されています。具体的には、電波の管理状況によって、例えば10倍又は50倍の安全率となっています。更に、日本では携帯電話基地局や端末などにこの指針値に基づく規制(基準値)を導入しています。
健康影響
電波の人への影響を教えてください。
日常生活で用いられている電波が人に影響を与える心配はありません。但し、現実には考えにくいことですが、電子レンジの中に入ったときのような強い電波にさらされたとすると、食品と同じように人体も温まってしまい、その熱による影響があると考えられます。なお、誘導加熱(IH)調理器のような100kHz程度以下の低い周波数の場合、非常に強い電波であっても人体はほとんど温まりません。低い周波数の電波による作用としては神経や筋を刺激する可能性が考えられますが、そのような強い電磁界にさらされる状況を作ることは困難です。
弱い電波でも長時間浴び続けると何か健康に影響はありますか?
電波防護指針(日本で定められている電波の安全性に関する指針)は、健康に好ましくない影響が生じる電波の強さより十分に安全な値が定められています。これまで、多くの実験で、電波防護指針で定められている指針値より弱い電波を長期間浴びた場合に、健康に悪影響が生じたという確固たる知見は得られていません。また、「電波を浴び続けると体に蓄積されるのではないか?」と心配する方がいますが、多くの研究で、電磁波には蓄積する性質はないことが確認されています。
携帯電話基地局の近くにいることで健康に影響はありますか?
携帯電話基地局から発射される電波の強さは、人が立ち入ることができる場所であれば、いずれの地点で電波に当たっても電波防護指針(日本で定められている電波の安全性に関する指針)の指針値と比較して低い値になるように運用されています。国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)では、携帯電話基地局等から発生する電波の強さ(電波ばく露レベル)を市街地・郊外・地下街等の500地点以上で測定した結果を報告しています[1][2]。電波防護指針の指針値と測定した地点の電波ばく露レベルを比較すると、最大でも指針値の約1/1,000以下であり、中央値は約1/10,000以下となっていることから、いずれの場合も指針値に対してかなり低いレベルであることがわかります。
【参考リンク】
[1]都市部及び郊外における電波測定結果に関する学術記事(英語)
[2]NICT HP記事「生活環境における携帯電話基地局等の電波強度を明らかに」
電波による子どもへの潜在的健康リスクはどの程度ありますか?
これまでの実験等では、電波が子どもの健康に好ましくない影響を与えるという結果は出ていません。本学の小島原らは、日本の若年層における携帯電話使用と脳腫瘍リスクの関連性はないと報告しています[1]。子どもは発育途上にあることから、さまざまな外的な影響に対して慎重であることが求められます。電波についても子どもへの影響がないか注意が払われてきました。我が国でも、若年層を対象に携帯電話の使用と脳腫瘍の関連を調査する疫学研究が行われましたが、関連は認められませんでした。この研究は、国際共同研究として行われたもので、各国が持ち寄ったデータを分析した結果も、脳腫瘍との関連は認められませんでした。1996年にGandhiらが、頭の近くで携帯電話を使うとき、子どもの方が脳の奥まで電波が及ぶという研究結果を報告したこともあり、子どもへの健康影響について問題視されましたが、2002年に同著者が自身で再計算を行い子どもの方が吸収量が増えることを否定する論文を発表しています。
5G技術の使用は、子供の発達状態にどの程度寄与する可能性がありますか?
携帯電話と子どもの健康に関する研究において、携帯電話の使用時間が長い子どもに集中力や行動の変化が見られると報告がありましたが、スマホやタブレットの長時間使用による睡眠不足や生活リズムの乱れの影響が大きいと考えられています。5Gの電波は従来の携帯電話より比較的高い周波数帯の電波が使われていますが、周波数が高くなっても、日本で規制されている基準値以下の電波の強さであれば、人体への悪い影響は認められていません。ただ、子どもは成長の途中なので、電波の有無に関係なくスマホの使いすぎに気をつけ、寝る前の使用を控えるなど、健康的な習慣を心がけましょう。